作品紹介その7 フレンチロックミュージカル『赤と黒』 ~フランスの文豪スタンダールの名作にロックミュージカルのアプローチで挑む!~
こんにちは!梅田芸術劇場公式note編集部です。
今回から、12月8日に東京で開幕する『赤と黒』を特集します!❤️🖤
これまでnoteでは、ワークショップの様子やスペシャルインタビュー等をご紹介してきましたが、改めて『赤と黒』のあらすじ・相関図や注目ポイントをご紹介したいと思います。
ぜひ予習・復習にお役立ていただけたら嬉しいです。
これまでの『赤と黒』の記事も併せてご覧ください👇
あらすじ
ナポレオンによる帝政が崩壊し、王政復古の世を取り戻したフランス。
小さな町ヴェリエールで、貧しい製材屋の末息子として育った、美しき青年ジュリアン・ソレルは、町を支配するブルジョワへの激しい憎悪に燃えていた。
聖職者になり出世しようと野心を抱く彼は、レナール家の家庭教師の職を手にしたが、信心深く貞淑な夫人、ルイーズ・ド・レナールと、情熱的な禁断の恋に溺れていく。
しかしその秘密は、町長ムッシュー・ド・レナールに激しい対抗心を持つブルジョワ、ムッシュー・ヴァルノによって暴かれてしまう。
町を出たジュリアンがパリで出会ったのは、ラ・モール侯爵の令嬢、マチルド・ド・ラ・モール。この出会いもまた彼の運命を狂わせていく。
ストーリーテラーのジェロニモが物語を締めくくる時、ジュリアン・ソレルを染めるのは赤か黒か、それとも――
相関図
注目ポイント
① 原作 スタンダール『赤と黒』について
19世紀中期フランスの作家・スタンダールが書いた『赤と黒』は、フランスの庶民であった神学生が上流階級に対して実際に起こした事件を題材にした長編小説です。
『赤と黒』の主人公、ジュリアン・ソレルが生きた王政復古の時代(1815-1830)は、戦いに負けたナポレオンに代わって、ブルボン王朝の王たちが権力の座に返り咲いた時代。
立憲君主制の中、絶対王政の価値観が復活して、王侯貴族とカトリックが権力を握っていました。
そんな時代に貧しい家庭で育ったジュリアンは、ナポレオンに憧れているものの現実には聖職者以外に選択肢はなく、赤(軍服)か黒(僧服)のうち、黒しか選べない閉塞した時代に生きていました。
ジュリアンは野心を隠し聖職での出世を狙っていたのですが、レナール氏というブルジョワの家に家庭教師として送り込まれ、そこでレナール氏の妻・ルイーズと出会ったことから運命が大きく変わります。
支配階級に対する嫉妬と憎悪をエネルギーに、愛の狭間で葛藤しながら立身出世を夢見て生きる、ジュリアン・ソレルの栄光と挫折の物語。
これまで映画やドラマ等の映像化もされてきており、ミュージカルとしても2016年にパリでの初演以降、何度も再演されていますが、
社会における格差に対する憎しみや欲望、そこに渦巻く愛など、今の時代にも通じる普遍的なテーマをもつ作品です。
② クラシカルな作品×ロックミュージカルのコラボ
原作は19世紀の小説でクラシカルな作品ですが、このミュージカルは現代のアプローチで表現されており、とりわけロックミュージカルであるということが大きな特徴です。
今作で、日本初演出を担当しているジェイミー・アーミテージさんは、世界中で注目を集める話題作である『SIX』の共同演出家です。
実は『SIX』もロックミュージカルで、ジェイミーさんはこのロックミュージックを使うことについて、元々お好きなこともあるそうなのですが、
「過去の物語をコンテンポラリーな音楽を通して伝えることで、より現代のお客様に理解していただける」
と考えているのだそう。
この作品は楽曲数が多く、かっこいいロックミュージックが数多く出てきます。
その中でも注目していただきたい曲が、1幕ラストの場面で歌われる「♪赤と黒」です。PVでも流れていたあの曲です。
ジュリアンは、裕福な町長であるレナール氏に家庭教師として雇われ、そこでレナール氏の妻・ルイーズに好意を抱きます。
しかし、ルイーズとの密会が露見し、レナール家を去ることになったジュリアンは、打ちひしがれて、絶望と憎しみにあふれます。
そして、これからは野望を叶えるため立ち上がろう、と決意するシーンでこの曲が歌われるのです。
以前noteで振付のワークショップの様子をご紹介しましたが、この曲ではロックミュージックにのせて歌い上げるだけではなく、激しいダンスもあり、『赤と黒』ならではの世界がたっぷり味わえます。
先日の公開稽古でも、一段と熱量が上がったシーンになりました。ぜひご注目いただけたら嬉しいです。
公開稽古の様子もぜひご覧ください👇
③ 今作の演出について
19世紀の小説を現代のアプローチから表現するにあたり、音楽やダンスだけでなく、舞台美術や衣裳でも現代的な表現を心がけている箇所があるそう。
舞台美術においてジェイミーさんは、「ジュリアンが社会に情熱で挑むにあたり、この古い時代(貴族・男性社会)をロックで壊したい」と話していたそうで、それを表現するために用意されたのが、「壁」。
スタンダールが古い時代の象徴として表現していた、抗えない「壁」を用意し、ロックがその「壁」を浸食するような表現にしています。
舞台の周りには古びた「壁」が用意され、ロックやジュリアンの怒り・情熱・愛を視覚的に表現するために、照明などで「赤」を表現するそうです。
そして、ジュリアンという古い時代に立ち向かう一人の青年の生き様を表現するにあたり、場面数は多いものの、舞台の転換は少なくしたのもポイント。
また衣裳でも現代的なアレンジを意識して、シルエットや素材の質感などに現代的な要素を少し取り入れて、今見てもおしゃれだと思えるものになっているものもあります。
例えばジュリアンの衣裳は、聖職者を目指しつつもナポレオンを敬愛するキャラクターに合わせて、ジャケットにミリタリーテイストを入れて、ディティールの部分では現代に通じるかっこよさを意識していたり、
マチルドの衣裳は、クラシックなテイストのドレスに、今の若い女の子の溌剌とした雰囲気も出すために、お腹が少し見えるデザインにしていたりするそうです。
今回の『赤と黒』が、長い年月を経てどのような形で表現されるのか、ぜひ劇場でご覧ください。
フレンチロックミュージカル『赤と黒』の作品紹介、いかがでしたか?
次回は担当プロデューサーから見どころをご紹介します。お楽しみに♪
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