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ミュージカル『VIOLET』演出家・藤田俊太郎さんのスペシャルインタビュー後編~前回のコロナ禍の公演と2024年の再演について語る~

こんにちは!梅田芸術劇場公式note編集部です。

来年2024年4月に東京芸術劇場プレイハウス、大阪・梅田芸術劇場シアター・ドラマシティで上演されるミュージカル『VIOLET』

先日、演出を担当される藤田俊太郎さんのインタビュー前編をお届けしましたが、今回は2020年の日本公演、そして2024年の再演に向けてお話をお伺いしました!

次回公演の演出に込められた想いが伝わってくることと思います。
ぜひご覧ください!

『VIOLET』のあらすじ、2019年のロンドン公演について語られたインタビュー前編もあわせてご覧ください👇

藤田俊太郎さんインタビュー~後編~

2020年日本公演の演出について

――それでは2020年の日本公演についてお伺いします。
2019年ロンドン公演時は対面式の回り舞台でしたが、その後コロナ禍になり、東京では9月に3日間限定・5公演のみの上演となりました。
ロンドン公演とは異なった形で、しかもコロナ禍のもとで上演するという点で難しさはありましたか。

難しいとは全く思いませんでした。当初予定していた4月公演が休止になり、どうやったらこの作品を再開できるのかを関係者、皆で模索していました

演劇界だけではなくて、世界中がこれからどうやって仕事をしたり、生活したりしていこうか、と考えて行動している状況でしたから、むしろカンパニー内の結束が強くなりました

だから私にとって、2020年でご一緒したキャスト、スタッフ、カンパニーメンバーは宝物です。
唯月ふうかさん、優河さん、成河さん、吉原光夫さん、spiさん、横田龍儀さん、岡本悠紀さん、エリアンナさん、谷口ゆうなさん、稲田ほのかさん、モリス・ソフィアさん、畠中洋さん、島田歌穂さんの強い力が創った芝居です。

もちろん上演できなかった4月公演の出演者である、原田優一さん、森山大輔さんが現場に残した軌跡と共に、です。
そして、劇場にいらっしゃることが大変だった時期、お客様がこの作品を本当に愛してくださいました。

コロナ禍を乗り越えるということと、『VIOLET』の登場人物たちが旅を通して、自分自身と向き合い、未来に向かって進んでいくことがシンクロして、まさに命がけの戦いだったと思います。あの3日間が実現したのは“奇跡”だったと思います

2020年内に上演したいと、日本キャスト版実現のために尽力した梅田芸術劇場のプロデューサー・制作、関係者の皆さんには感謝しかありません。

2024年の再演・演出について

――その2020年公演を経て、2024年に再演できるということの感想や何か想いなどはありますか。

2020年の公演が素晴らしかっただけに、更に気を引き締めています。なので全力で作品と向き合い、再び挑戦する気持ちでいます。

ただ、内容に関しては再演とは考えていません。テーマの普遍性が魅力的で、いつの時代でも全く違う考えを持って創る可能性があると思います。

人種間だけの問題ではなく、分断と融和、どう世界を見据えて行くのか、強く私達に訴えかけてくる作品ですので、2024年の今、上演できることを大事にしていきたいと考えます。

もう一つ、音楽の豊かさについて少しお話すると、この作品にはアメリカの音楽のルーツ、黒人音楽・白人音楽が実に見事に溶け合っているんです。物語や魅力的なキャラクターが、音楽と共に融合し、融和している。

アメリカ音楽史が凝縮され、20世紀に繋がる歴史までもが表現されていることが、大きな魅力の一つだと思います。時を超えて、今のお客様に“響く” “届ける”ことも重要です。

2019年英国キャスト版、2020年の日本キャスト版のカンパニーの皆さんと創った時間を胸に抱きながら、新しい旅を始めることが、今までこの作品を通して出会った仲間たちへの最大の敬意だと考えています。

素敵な旅の終わりは始まりであり、旅は続いていく。この企画はバスの旅そのもののように感じます

――その音楽というのは、例えばメロディーの要素として様々なジャンルのアメリカ音楽がミックスされている、という感じなのでしょうか。

はい。音楽のジニーン・テソーリさんのミュージカルの才能には感服します。ヴァイオレットが旅した場所や心の変化に合わせて、音楽が見事に変わっていくのです
もちろんブライアン・クロウリーさんの脚本と歌詞にも感動します。触れる度、読む度に発見があります。

お二人とも今はさらにキャリアを重ねられていますが、この作品はまだ若い時のものなので、若き情熱と魂が入っていると思いますし、その輝きはこれからも色褪せないなと感じています。

2020年日本公演より 撮影:花井智子

――今回再演する際にはオンステージシートが実施されますが、2019年ロンドン公演の時のような対面式舞台の要素も入ってくるのでしょうか。

まさにその通りです。
そしてお客様がバスの乗客の1人であるという演出の基本コンセプトは変わりません。

1960年代当時はバスボイコットに関わる出来事、グレイハウンド・バス爆破で、市民が犠牲になるという現実がありました。

美術のプランとして、盆(舞台の床の円形部分で回転する回り舞台)を使って乗客たちの座っている場所を変えることで、
客席に座っているお客様もバスの一番前の席や一番後ろの席に座る感覚を味わえるのではないか、と考えています。

バスの前に座っている視点と、後ろに座っている視点の両方を体験することで、市民の利用する乗り物でありながら、座るスペースが分けられ差別があった、当時のバスを取り巻く1960年代の状況をお客様も追体験することができる
この作品のテーマの一つに繋がると思います。

公演チラシについて

――2024年公演の最初のチラシでは、写真が使われていましたよね。それは藤田さんがアメリカ南部で撮影されたお写真だと伺いましたが、なぜその写真にされたのか、その想いなどがあれば教えてください。

プロデューサーや皆さんが決めたものなのですが、”川”ですよね。

劇中にモチーフとして“ヨルダン川を超える”という表現ができてきますが、川の対岸側や先に行くことで、新たな価値観を手に入れる

旅や人生を続けていくという通過儀礼が、一つのメタファー(隠喩)としてこの作品の中に随所に入っています

私が行ったアメリカ南部の旅の中で撮影したアーカンソーリバーの写真を選んでいただきました。

藤田俊太郎さん撮影

そしてモノクロのチラシから、キャストのビジュアルが乗ったチラシではカラーになる。デザイナー榎本太郎さん、宣伝美術に関わる皆さんの素敵な仕事です。

元々ヴァイオレットは、周囲から“顔の傷のせいで人間扱いされていない”と思い込んでいて見ていた世界も暗かったのが、旅を通して心の傷がなくなり、カラフルに、そして華やかになって色味を帯びていった、という作品全体の世界観と繋がります。

新キャストについて

――今回の新キャストに対して、期待されていることを教えてください。

キャスト全員とお仕事できることが本当に幸せだし、嬉しいし、お一方ずつ期待や触れたいことがたくさんありますが、今回はヴァイオレットのお2人、三浦透子さんと、屋比久知奈さんに絞らせていただければと思います。

ヴァイオレット像には無限の可能性があると考えています。まず英語の台本を読んで、日本語の訳詞・翻訳に向き合って、ディスカッションを重ねていきたいと思います。
そして対話をしながら2人独自のヴァイオレット像を創っていきたいと思っています。

衣裳の色、かたちもそれぞれ違います
ヴァイオレットの中には、人生に怯えている側面もあれば、力強く生きたいという側面もある。旅を通してどんどん人間らしくなっていく。
彼女にはたくさんの魅力があるので、一緒に見つけていきたいと思います。

――新しい旅として、新しい楽しみ方もできていく。

そうですね。先日のリリースのタイミングで「傷も旅の一部」だと書いたのですが、生きているといろんな傷を負ったり重ねたりしますけれども、
人生を旅と例えて、もしくは旅を人生と重ねるならば、傷があってそれを乗り越えていったり、前に進んでいく、ということが『VIOLET』の大きなテーマだと思っています。

今回は、東京と大阪で上演されます。
2024年の『VIOLET』誕生の瞬間をぜひ皆様にも目撃していただきたいですし、ロンドンでも東京でも一度ご覧になった方も、また一緒に旅ができたらと思います。

乞うご期待!


藤田俊太郎さんの前編・後編にわたるインタビュー、いかがでしたか?
2024年には藤田俊太郎さんインタビュー第二弾として稽古場からお届けできたらと思っています。どうぞお楽しみに♪

現在梅田芸術劇場ネット会員で、抽選先行受付中
ぜひこの機会をお見逃しなく!
https://www.umegei.com/violet/index.html#ticket

〈第1次抽選先行〉2023/12/19(火)11:00~12/26(火)11:00
〈第2次抽選先行〉2024/1/11(木)11:00~1/16(火)11:00

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ミュージカル『VIOLET』公演概要
音楽:ジニーン・テソーリ (『ファン・ホーム』2015年トニー賞最優秀オリジナル楽曲賞) 
脚本・歌詞:ブライアン・クロウリー  
原作:ドリス・ベッツ『The Ugliest Pilgrim』
演出:藤田俊太郎
出演:三浦透子/屋比久知奈(Wキャスト) 東啓介 立石俊樹
sara 若林星弥 森山大輔 谷口ゆうな 樹里咲穂 原田優一 spi
日程:  
【東京】2024年4月7日(日)~4月21日(日)/東京芸術劇場プレイハウス
【大阪】2024年4月27日(土)~4月29日(月・祝)/梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ
一般発売:2024年2月10日(土)
お問合せ:梅田芸術劇場(10:00~18:00)
(東京)0570-077-039 (大阪)06‐6377‐3888
企画・制作・主催:梅田芸術劇場 
共催:公益財団法人東京都歴史文化財団 東京芸術劇場(東京公演)

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