『太平洋序曲』上演にいたるまでのウラばなし
こんにちは!梅田芸術劇場公式note編集部です。
3月8日開幕のブロードウェイミュージカル『太平洋序曲』について、
前回はあらすじやメインキャストをご紹介しました。
今回はもっと皆さんに『太平洋序曲』のことを知っていただきたく、
豆知識(笑)と併せて、少し稽古場の様子もお届けできたらと思います!
今回の『太平洋序曲』はアメリカの作家&作曲家による日本の物語を、
イギリスの演出家マシュー・ホワイトさんを招聘し、
日本のキャストで日本のお客様にお届けするため、様々な工夫がされています。
公演を行うまでのこの期間、どんなことが行われてきたのでしょうか。
ミュージカル『太平洋序曲』の誕生
まずは『太平洋序曲』のはじまりについて。
1976年のブロードウェイでの初演を手掛けたのは、スティーヴン・ソンドハイムさん(作詞・作曲)、ジョン・ワイドマンさん(脚本)、ハロルド・プリンスさん(初演演出)でした。
ブロードウェイの上演作品が西洋からの視点だった時代に、
作家陣がこだわったのは「日本の視点」🗾。
日本に短期滞在し、文化を学びイマジネーションを膨らませた力作で、
数多あるブロードウェイミュージカルで、“日本”を描いた作品はとても貴重です。
ちなみに英題"Pacific Overtures"はペリーの手記から引用されたと言われています。
Pacificには"太平洋🌊"と"平和🕊"の2つの意味があり、
Overtureはオペラやミュージカルで最初の曲を指す“序曲♫”。
「平和の序曲」の実態はどうだったのか…ソンドハイムは皮肉を込めてこのタイトルをつけたとも言われています。
脚本:ジョン・ワイドマンについて
1986~2016年まで30年間、「セサミストリート」の脚本家としても活躍。
ハーバード大学で東アジア史を専攻し、その後イェール大学で法務博士を取得しましたが、
大学で「ペリーの日本遠征」を学び、ドラマ化したいと願っていたことが、本作誕生のきっかけに。
『太平洋序曲』はワイドマンさんの初脚本作で、その後『Assassins』『Road Show』でもソンドハイムさんと共作しています。
作詞・作曲:スティーヴン・ソンドハイムについて
約60年間ミュージカル界を牽引し、数々の名作を生み出してきました。
『ウエスト・サイド・ストーリー』の作詞をはじめ、『スウィーニー・トッド』『メリリー・ウィー・ロール・アロング』『INTO THE WOODS』の作詞・作曲など、
その多作さは他に類を見ず、またミュージカル界の人材育成とサポートにも多大な貢献をし、『Hamilton』『イン・ザ・ハイツ』のリン=マニュエル・ミランダさんもその中の一人です。
2021年11月に91歳で亡くなりましたが、2022年のトニー賞ではその功績が讃えられました。
『太平洋序曲』を彩る楽曲
ソンドハイムさんが「これまで作った楽曲の中で一番好き」とコメントした「♪木の上で(Someone in a Tree)」。
日米の歴史的会談が海辺の小屋で行われる場面で登場するこの楽曲、
ソンドハイムさんはこの瞬間をあえて小屋の中のドラマを見せず、
外にいた人々の視点から描きました。
小屋の隣の木の上から見ていた「少年」、床下に潜んで聞いていた「武士」、そして少年は時を経て「老人」となりあの日を回顧します。
会談の会話は届かず視覚だけで目撃した少年、聞こえてくる物音から把握しようとする武士、そして月日が経ち、肉付けされた「あの日」を語る老人。
大衆が歴史の一部分になっていたこと、そして物語・歴史は「視点」によって異なる、そんなメッセージが込められています。
その他にも「♪此処は島国(The Advantages of Floating in the Middle of the Sea)」、「♪俳句の歌(Poems)」、「♪ウェルカム・トゥ・カナガワ(Welcome to Kanagawa)」、「♪やあ ハロー(Please Hello)」など、
『太平洋序曲』には魅力的な楽曲が揃っています。
本稽古の前に歌の音取りと曲を覚える期間である歌稽古では、
音楽チームのスタッフとともに、難曲ぞろいと噂されるソンドハイムさんの音楽に、一曲ずつ向き合う姿が見られました。
また日本語に翻訳・訳詞された歌詞も、海外で生まれたミュージカルを日本で見る醍醐味の一つです。
幕末の日本を舞台にしたミュージカルを日本語で観ることが出来るように、
今回、翻訳・訳詞家の市川洋二郎さんと試行錯誤しながら制作しました。
英語の歌詞を訳すと、母音が多い日本語では少ない情報量になりがちなため、
限られた音符に収めるべく、パズル作業のように作られており、
旋律に絡む言葉遊びが面白く、市川さんのこだわりが随所に詰まっています。
そして昨日オーケストラとの合わせ稽古を行った際の映像が公開されました!
ぜひソンドハイムの世界観と今回の日本語の歌詞、
そして稽古場の様子なども、ひと足先に体感頂けたら嬉しいです。
『太平洋序曲』を彩る振付
『太平洋序曲』の見どころである"日本と西洋の邂逅”。
今回担当するアシュリー・ノッティンガムさんの振付は、曲とのリンクが非常によく練られ、秀逸なものです✨
ソンドハイムの複雑な音楽に合わせて、かつ訳詞の都合で英語の原詞と異なる箇所も発生するため、日本語に合わせて試行錯誤しながら調整されました。
結果、日本語の歌詞をよく捉えた身振りで表現されています。
所作指導では、振付に対して効果的に現れる扇の扱い方や着物の裾捌き、侍の所作などを学ぶ真剣な眼差しで取り組む俳優陣の姿が見られ、振付もブラッシュアップされました。
本番に向け進んでいる『太平洋序曲』、いかがでしたか?
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